がっかり集中法

俺がフィリピンに住んでる理由は二つある。

ひとつめは他のアジア各国への移動が楽なこと。
俺は今実験的に色々な国ではたらくということをしている。たぶん今後はそういう動き方をしてるウェブエンジニアが相当熱くなるはず。今のうちに下地を作っておきたい。

ふたつめは飯もうまくないし地元の友だちもいないしろくなアクティビティもないところ。これは非常に重要で、これのお陰で仕事に集中せざるを得ない。外食は大して安くないくせにまずいしバリエーションも貧弱なので自炊一択なんだけど、野菜も肉も日本のものに比べてコストパフォーマンスが悪いので手をかけて作るようなこともない。
アクティビティだってカジノいくかおねーちゃんと飲むくらいしかない。もちろん数時間かければリゾートっぽいところはあるけど、仕事帰りにちょっと寄っていこうかというようなもんじゃない。あと、友人はいるんだけど地元の友だちのような関係性をもったコミュニティもないから、例えば休日にホームパーティをすることはあっても、平日の夜にたむろする店があるわけじゃない。

ふたつめの理由はフィリピンを選ぶというよりは日本以外を選ぶ理由。俺が常々言ってるのは「日本にいると精神がコンシューマになる」という問題で、これはつまりうまい飯を食ったりして安易に満足感を得てしまうことへの焦りに焦点をあてている。日本に居ながらにして飢餓感を覚えるにはウェブエンジニアという職種は恵まれすぎてしまっている。
このままじゃ業界のトレンドさえ押さえてれば現状維持でそつなくこなせてしまう。それで薄っぺらい満足感を日々得て暮らしてしまう。

そんな毎日を過ごすために俺はいるのか。否。

そういう理由で俺は今海外にいる。正直日本で生きるほうが安定して高い給料もらえるし、安全だし、飯はうまいし近所の店には誰かしら友達がいるし、面白いアクティビティがたくさんある。俺はそんな体験の受容体として自分の生を浪費したくない。
一人でヨットに乗って太平洋を横断するような馬鹿げたことこそが俺にとって本質的な価値を持つ。俺は俺のような何者でもない人間でも何かを成し遂げられることを証明する。

それが俺が俺の人生を生きる目的だ。