ベトナムのコーヒー

金曜の夜、日本からきていた友達と遊んだ。屋台で BBQ をアテにビールを何本か飲み、それじゃということで71グラマシーへ。入り口で「入りたいならボックスシートにしろ」と言われる。金額を尋ねると「ボックスシートはボトル2本買う必要がある。1万ペソだ」と。いくら金曜の夜だからっていってクラブに入るのに日本円にして3万円弱。

マニラの景気の良さを痛感するとともに、日本の円安に不安を感じる。東南アジアでこんな思いをするようになるとは。円高の神様に祈りを捧げつつ KTV へ。

ここは彼女が以前働いていた店で、勝手知ったるなんとやらなところ。息を吸う様に酒を飲む俺と彼女。連れの友達はほとんど飲めないのでアイスティー。

なんか酔っ払うのが早いなと思って彼女の動きを見ていたら、焼酎にカラマンシーを絞るだけだった。水割りだって言ってるし、彼女もそれは理解してるんだけど、とりあえず面白いから飲ませてやれみたいなトーン。嫌いじゃないので付き合ったら途中から段々と記憶が薄れて…

気がつけば1本半を飲み干していた。お店の営業が終了したので、その足でタイムへ。

ここで簡単に説明しておくと、71グラマシーもタイムもクラブ。ただ、地上71階建ての超高層コンドミニアムの最上階に、ルーフトップなラウンジを持つ71グラマシーは基本的に全てが高額。客層も大概が金融系か投資家。たまに石油王みたいなナリをした中東系のおっさんなんかも見かける。ここにくればマカティが金融都市であり、金持ちのために作られた街だということを体感できる。

一方タイムは路面店のいわゆる普通のクラブだ。ただし、ローカルは全体の2割程度しかいない。地理的な理由が主だろうけど、このクラブでは歌ものをかけることが少ない。フィリピンにおけるクラブってのはいわゆるディスコで、歌ものが中心になっている。それはそれで悪くはないんだけど、さすがに何回か行けば飽きてしまう。ローカルの連中は飽きもせずにニッキーミナージュとかで踊ってるけど。

そういう関係にあるグラマシーからタイムへ。もちろんタイムにはボックスシートを買えと要求する黒服もいない。今夜も欧米人ばかりなのに結構パツパツ。だけど東南アジアのクラブにくる欧米人てのは大体が野暮ったいやつがおおくて、ここタイムでも靴の裏についたガムでもとってんじゃねえかってくらい動きがいけてない奴が多い。なんだったら腕くんでじっとしてる奴もいる。お前はラーメン屋の店主か。

あんま他人の文句ばっか言っても、俺もそれほど動けるわけじゃないからこれくらいにして、朝まで踊った。気がつけば自分のメッドの上で目が覚める。タイムに入ったくらいで記憶が完全に失われていて、ところどころ数秒程度、断片的にフラッシュバックする部分もあるけど、大体思い出せない。思い出せなくとも帰ることはできる。鮭のような自分の帰巣本能に感謝しつつ、ベトナムで買ったコーヒーを飲んでいる。